放射線技師のやりがい・魅力

医療系の仕事に興味があって、最近「診療放射線技師」という資格を知ったんです。
みなさん、放射線技師の仕事のどんなところに、やりがいや魅力を感じているんでしょうか?

そんなギモンを解決するべく、実際に診療放射線技師として働く先輩技師さんに、放射線技師になった「きっかけ」、「やりがい」や「仕事の魅力」について聞いてみました!
もくじ
放射線技師になったきっかけ・やりがい・仕事の魅力とは?
\ 私の力で患者さんによりよい治療を /
「見えない」を「見せる」仕事

放射線技師さんのプロフィール
現在、整形外科病院で働いている放射線技師32歳・男性のNさん。岐阜県にお住まいで、勤務歴は9年になります。もっといい写真を!と日々仕事にやりがいを感じられているようです。
今、どんな仕事をしているの?
整形外科領域の撮影が中心
転んで骨折した、靭帯を痛めたなど、いわいる整形外科領域の患者さんを対象とした、レントゲン撮影、CT検査、MRI検査、透視検査を主に対応しています。
もうすぐ技師歴10年を迎え、上司からの信頼は厚く、後輩指導にも力をいれています。
診療放射線技師を目指した理由&きっかけは?
1度目の撮影のあとに
学生時代に自転車で転んで、胸を強く打ったんです。とても呼吸が苦しくて、きつい思いをしました。
その後、病院を受診した時に「肋骨のレントゲン写真」を撮ったのですが、その時に担当してくれた診療放射線技師さんが、1度目の撮影のあと

痛みの原因をはっきりさせたいので、もう一度撮影をよろしいでしょうか?
と、熱心にお願いされました。私は言われるがまま、写真を撮ってもらいました。そのあと、医師の診察を受けた際に、

肋骨に骨折があります。レントゲン写真だけでは、なかなかここまで骨折線(骨の亀裂)を出すのは難しいんですよ。CT検査も考えていたけど、レントゲンだけでよさそうですね。
・・との話を受けました。
レントゲン撮影だけで…
その当時はよくわかりませんでしたが、あとで気になって調べてみると、肋骨の骨折をレントゲン撮影で出すのは簡単ではなく、現在は精査のために、CT検査を追加で撮影することあると分かりました。
CT検査は詳しく検査ができる反面、患者さんの放射線被ばくが増え、さらに検査のお金もかかり、患者さんへの負担が大きくなるリスクを伴います。
それを、レントゲン撮影だけで医師の診断に結び付けていたことにとても感動し、そのことをきっかけに私の夢は診療放射線技師となりました。
診療放射線技師のやりがいとは?
まだまだ改善の余地が
診療放射線技師の資格を取得すれば、法律上はエックス線を人体に照射することができます。だけど、これはスタートラインに立っただけに過ぎません。
現在、整形外科に特化した病院で働いていますが、レントゲンをひとつとってもまだまだ改善の余地が残っていて、もっといい写真を目指せると思っています。
あの技師さんを目指して
こうやって、生涯を通して成長でき、それを実感できる職業に就けたことは、わたしにとって大変嬉しいことです。そして成長過程であっても、

今日の△△の写真はよかった
と医師からお褒めの言葉を頂いたり、患者さんから感謝の言葉を頂くことがあります。そんな時には、

頑張ってよかった、もっといい写真が撮れるようになろう
と思うことができます。
学生時代に出会った技師さんを目指して、わたしの力が少しでも患者さんの治療に役立てれば幸いです。これが、診療放射線技師であるわたしにとってのやりがいなのかもしれませんね。
\ 医師から質問されることもある! /
医師から信頼される技師を目指して

放射線技師さんのプロフィール
現在、病床数300床の病院で働いている放射線技師29歳・男性のYさん。佐賀県にお住まいで、勤務歴は4年になります。周囲から信頼される仕事を!と日々やりがいを感じながら働いているようです。
今、どんな仕事をしているの?
ローテーション業務で幅広く
一般撮影、透視検査、CT検査、MRI検査、アンギオ検査をローテーションで担当しています。2年前から当直業務も担当するようになりました。
当院は、2次救急までの受け入れまでしています。当直は、月に2~3回程度で、そのうち1回程度、2次救急の受け入れ担当の日となっています。
当直業務は、日勤帯の業務が終了した夕方からそのまま引き継ぎで担当し、次の日の朝まで担当します。そして次の日が「明け」で一日休み。忙しくなければ仮眠をしっかりとって翌日の休みに備えることができますよ。
診療放射線技師を目指した理由&きっかけは?
救急車で運ばれるも原因が…
学生時代に「みぞうち」あたりが猛烈に痛くなって、夜中に救急車で病院に運ばれたんです。
病院に着くなり、心電図や胸・お腹のレントゲンを撮ってもらったんですが、原因がはっきりわからず、CTまで撮ったんです。
検査室から救急外来に戻ってきても、担当していた内科の先生が原因を特定できていない様子でした。そして、その内科の先生が循環器や消化器の先生に相談の電話をしている最中に、CTの検査をしてくれた先生がやってきて、内科の先生にぼそぼそと話を。その直後「虫垂炎ですね」と診断をしてもらったんです。
意識がもうろうとしていましたが、あの瞬間ははっきり覚えていました。
先生だと思っていたら!
手術が終わって退院前に、あの助言をくれた先生に、ぜひお礼がしたいと思って、CT検査室に伺いました。ちょうどあの先生もいらっしゃって、すこし話をすると

いやいや、僕は医師ではなく、診療放射線技師です。虫垂炎(世間的には盲腸とよく言われる)は、いろんなところが痛くなることがあるんですよ。あの時の救外の先生が、専門の先生じゃなかったから、心配になって伝えに行ったんです。手術がうまくいってよかったですね
とさわやかに一言。すごくかっこよかったです。
診療放射線技師のやりがいとは?
だんだんと経験を積み…
当直業務で2次救急を担当していると、いろんな患者さん、様々な症例に出会うことがあります。はじめは、撮影することに一生懸命でアタフタしていました。しかし、当直に就いて2年が過ぎるとだんだんと画像が見えるようになってきました。
検査が依頼された時、依頼内容に患者さんの主訴(どこが痛いなど)が掲載されていますが、必ず自分なりに簡単な質問をし、血液検査のデータを参考にするなど、読影(画像を見て原因をさがすこと)の工夫をしています。
医師から質問をされるように!
当院の救急外来担当医は、勤務医や他院の医師が順番で担当するため、たまに医師の専門と異なる患者さんが来院することがあります。そういった場合、CT検査室では

Yさん、画像上何かありますか?
などと医師から質問を受けることがあります。当直に入ったばかりの時は、そんな質問ほとんどありませんでしたが、最近は増えてきた気がします。そうやって救急の現場では医師と対等に話ができることがあります。
医師から信頼されて
ある日、外来全体の忘年会のときに、とある医師から

Yくんが当直の時は、安心して外来に集中できるよ
とのお言葉を頂きました。お酒の席だったから冗談だったのかもしれませんが、医師から信頼されて仕事ができていることに対して、誇りとやりがいを感じました。診療放射線技師って、そんな仕事なんですよ。
\ パソコン操作が好きだった私には天職だった /
立体的な人体解剖に驚愕!

放射線技師さんのプロフィール
現在、総合病院で勤務している放射線技師27歳・女性のKさん。新潟県にお住まいで、勤務歴は3年になります。3D画像の作成がおもしろい!と日々仕事にやりがいを感じられているようです。
今、どんな仕事をしているの?
CT3D画像の作成業務も!
職場が総合病院のため、モダリティはたくさんあります。
入職当初は、レントゲンとマンモグラフィを主に担当していましたが、3年が経ち、最近はCT検査を任されるようになりました。
当院のCT装置は320列の検出器を有し、頭や心臓の血管の撮影が従来の装置に比べて、鮮明に撮れるようになりました。1日に約50件弱の撮影を実施しており、その後にCT3D画像を作成しています。
3D画像は、手術前の頭の血管、心筋梗塞を起こした心臓の血管、足の血管など、依頼があればどんな血管の3Dも作成します。
また、骨折した骨や肺にできた悪性腫瘍(がん)、大腸などの画像も作っています。
診療放射線技師を目指した理由&きっかけは?
入院の話を聞かされ…
父の病気がきっかけです。父はよくタバコを吸う人で、それが主な原因となって肺に悪性腫瘍(がん)ができました。
当時(16歳)は、パソコンで絵を描くのが好きでした。よく部屋にこもってパソコンを相手に何時間も経つことはざらで、よく父とは喧嘩になっていましたね。会話もあまりないころのことでしたが、母から深刻な表情で「お父さんが…」と入院の話を聞かされました。
いろいろ考えましたが、父の入院した病院へ向かいました。
「手術が必要ですね」と母と私の前で話す先生の横には、父の肺がんが鮮明に示されたCTの3D画像があったんです。
初めて見た3D画像に衝撃
肺とがんの位置関係、がんを栄養している血管の走行、気管支など、とてもわかりやすく何より綺麗でした。もちろん父の心配もありましたが、人の体の中を鮮明に表現できていた3D画像に衝撃を受けました。
父の手術が無事終わり、落ち着いたときに思い出して調べてみると「診療放射線技師」という職業が、あの日に見た3D画像と関われると知りました。もともとパソコンで絵を描く私にとっては、とても興味深い職業となりました。
診療放射線技師のやりがいとは?
難しい3D画像作成
今、やっと学生時代にやりたいと思った診療放射線技師のCT3D画像を作成することができています。
先生が患者さんに説明するときや、手術の支援画像としてオペ室に掲載されるときがありますが、それを見てどこがどのようになっているのか、あっという間にわかります。しかし、あっという間に理解してもらえる3D画像を作成するには簡単ではありません。
良い画像を作成するには
まず、良い3D画像を作成するには、良い検査をしなければなりません。そのためには、人体解剖・血液の流れや分布・疾患(病気)・機械の特性など様々な知識が必要で、しかもそれは診療放射線技師の学校では深く学ぶことができません。働きながら学ぶ必要があります。
そして良い検査をしたあとは、その画像を理解しやすい3D画像に加工しなければならないのです。
そうやって、ようやく診断や治療に有用な画像が作れるのです。
この画像がないと?
患者さんが見れば・・

ああ、そこがそういう風に・・
医師が見れば・・

なるほどね
と、ひと時の画像で終わってしますかもしれませんが、この画像がないと、診断までたどり着かなかったり、さらに検査を追加してしまうことも考えられます。また、手術が難航する原因のひとつになるかもしれません。
こんな仕事ができていると考えるとワクワクしませんか?「縁の下の力持ち」的な存在ですが、しっかり患者さんの治療や社会復帰に貢献できています。これが、やりがいの一つですね。
よりスキルアップを目指して
今は、まだCT検査に携わったばかりで、先輩の技師さんに迷惑をかける日々が続いていますが、パソコンで絵を描くことが好きな私にとって、3D作成は楽しく仕方がありません。まだまだですが、これから信頼される診療放射線技師を目指して頑張っていきたいと思っています。
放射線技師のやりがいまとめ
- 生涯を通して成長でき、それを実感できる。
- 患者さんの診断・治療における「大きな縁の下の力持ち」となる存在
- 医師そして患者さんから信頼される職業
診療放射線技師は、見る人によっては「ただの写真屋さん」というイメージを持たれる場合がありますが、現在の医療における画像診断の役割は相当に大きく、求められる知識・技術は高いでしょう。その要求に答えるだけの努力と成果は、きっとあなたの人生を豊かにするはずです。一度、進路のひとつにしてみてはいかがでしょうか?

診療放射線技師のやりがいについて、ご紹介してまいりましたがいかがでしたでしょうか?よろしければこちらもご覧ください!
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